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肛門嚢(肛門腺)炎
肛門嚢炎(こうもんのうえん)は、肛門の両脇にある肛門嚢(肛門腺)が炎症を起こす病気です。これは比較的よく見られる病気で、早期発見・治療が大切です。
肛門嚢とは?
肛門の左右(4時と8時の方向)にある小さな袋状の器官です。悪臭のある分泌液(マーキングや排便時に出る)が溜まり、通常は排便の際に自然に排出されます。
<肛門嚢炎の原因>
- 分泌物がうまく排出されず詰まる
- 細菌感染
- 肛門嚢の損傷や外傷
- 肛門周辺のトラブル(便秘、軟便など)
<主な症状>
・おしりを床に擦りつける「スリスリ行動(お尻歩き)」
・お尻をしきりに舐める、噛む
・お尻や肛門の腫れ・赤み
・悪臭がする分泌液が出る
・痛みで触られるのを嫌がる
・重症化すると膿が出たり、破裂することも
<治療>
- 肛門腺のしぼり出し
動物病院やトリミング時に行われることが多いです。軽度ならこれだけで改善します。 - 抗生物質の投与
炎症や感染がある場合に処方されます。 - 切開・排膿処置
膿が溜まっていたり、破裂した場合には外科的処置が必要なことも。 - 肛門嚢の手術(切除)
再発を繰り返す場合、根本的な治療として行われることがあります。
↓↓手術写真があります。
剥離・露出した肛門嚢
切除後の様子
術式完了
切除した肛門嚢