CASE

外科診療腫瘍外科

乳腺腫瘍

乳腺腫瘍は未避妊のメス犬で最も多く見られる腫瘍で、メス犬全体の腫瘍の約半数を占めています。またごく稀ではありますがオス犬に発生することもあります。

7歳以降から発生しやすく、大きさにもよりますが良性、悪性は半々といわれています。

 

原因はエストロゲン・プロゲステロン などの女性ホルモンとの関係があると考えられています。避妊手術を受けていないわんちゃん は発情後に乳腺腫瘍が大きく成長することがあります。

しかし、早期の避妊手術によって腫瘍の発生確率を大きく減少できることがわかっています。

 

image003 image001[卵巣子宮摘出時期と乳腺腫瘍の発生率]

初回発情の前          0.05%

初回発情と2度目の発情の間          8%

2度目の発情の後                      26%

 

乳腺腫瘍の臨床データで、腫瘍の大きさによって悪性度、転移率が変わることがわかっており、あるデータでは3cm以上になるとそれが上昇します。もしもおうちでお腹にしこりを発見した場合は早めに診察を受けることをおすすめします。

診断:FNA(針吸引)で乳腺の細胞かどうかを確認しますが、この時点では確定診断はできません。確定診断には手術で切除した組織を病理検査する必要があります。

治療:①外科的に切除 腫瘍の発生部位や大きさ、全身状態により術式を選択します。

・片側全切除

・3乳房切除

・1乳房切除など

②切除後、確定診断の結果によっては、生存期間延長を目的とした化学療法を行うこともあります。

症例1:左乳腺に多数の腫瘤が確認できます。この子は腋窩リンパ節も顕著に腫脹しており、FNAにてリンパ節への転移が確認されました。

手術は左乳腺全摘出と左腋窩リンパ節郭清(切除)を行いました。

病理組織検査で悪性と診断されたため、飼い主様と相談の術後化学療法を行いました。

化学療法後も良好な経過を保つことができています。

 

症例2:左乳腺に多数の腫瘤を確認しました。

一部の腫瘤は巨大化し表面が自壊しています。

長期間腫瘤を放置したことにより一部が壊死し漿液や血液が常に出ている状態です。

手術は乳腺の部分切除を選択し、切除部が大きい場合は皮膚がよらずに縫合できないことや術後に裂開してしまう可能性もあるため、切り込みを入れて減張することにより治癒を促進します。